Sunday, January 25, 2009

酒とジャズ

「ワイエスが亡くなりましたね」。思いだしたようにマスターが言う。

 そういえば、リブロポートから出ていた画集3冊を持っているのを自慢したことがあった。マスターはそれを覚えていたのだ。

 「ワイエスが描いたのはアメリカの原風景、それも精神の原風景という気がする。好きだったなあ」

 「なるほど。ならばアメリカの原風景を感じる音楽はなんでしょうね」

 マスターの問いに、隣でワイルドターキーを飲んでいた常連のA氏が「パット・メセニー」と即答した。

 「あるのはこれだけなんですよ」。マスターは『ミズーリの空高く』(1996年録音)をカウンターに置いた。ともにミズーリ州出身のチャーリー・ヘイデン(ベース)とパット・メセニー(アコースティックギター)のデュオアルバム。

 何と深い響き。ふたりの親密な会話のような演奏にスーッと引き込まれる。特に6曲目の《ザ・ムーン・イズ・ア・ハーシュ・ミストレス》。確かにワイエスの絵に通じる精神性と大草原を吹き抜ける冷たく乾いた風を感じる。

 「ところで、ミズーリはどこにあるんですか」。マスターの唐突な問いに、A氏は「オレも知らない」と言って勢いよくグラスを空けた。(桑原聡)

産経ニュース

どうして酒とジャズって合うんでしょうねぇー

Wednesday, January 14, 2009

少年との全裸シーン

映画史上に残る超ヒット作「タイタニック」から11年。スターの座をつかんだレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットは、役者として成長し30代になった。その2人が久々に「レボリューショナリー・ロード/燃えつきるまで」(日本公開は24日)で共演するというので、懐かしさも手伝って映画館に足を運んだ。

 作品はリチャード・イエーツの原作を読んだウィンスレットが、夫君のサム・メンデス監督に相手役として、今でも親友のディカプリオを推し実現。レオの名を口にした時、まるで彼女が“夢のカップル”再現をたくらんでいたかのように、一瞬沈黙が流れたという。

 「ELLE」誌2月号でウィンスレットは「この煮えきらない男を演じる勇気のあるのは、レオをおいていない」と、レオ起用の理由を説明している。

 舞台は1950年代の米郊外。家を買い子供にも恵まれ、一見幸せに見えるレオ演じる夫フランクは、面白くもない仕事にいらだち、ウィンスレット演じる妻のエイプリールは“中流階級の罠”にはまったと絶望する…。ロマンチックな「タイタニック」からほど遠く、口論する2人の姿は、夫婦の現実の苦さを共感させる。

 「アメリカン・ビューティー」(99年)で中産階級の悲劇を描き、アカデミー賞5部門受賞をもたらしたメンデス監督お得意のテーマで、ウィンスレットは見事ゴールデングローブ賞主演女優賞に輝いた。

 売れっ子の彼女は「愛を読むひと」にも出演中だ。こちらは50年代から80年代にかけてのドイツが舞台。15歳の富裕階級の少年がウィンスレット演じる貧しい36歳の女ハンナから、禁断の性の味を教わる。少年は所望されるままホーマーやチェーホフなどを読み聞かせるが、ある日ハンナは突然姿を消す。失意のまま少年は法律学校に入るが、傍聴したナチ戦犯の裁判で、被告席に座るハンナの姿に出会う…。

 太めで有名なウィンスレットが見せる、少年との全裸のセックス・シーンの美しさには、息をのむ。ホロコーストという重いテーマが底辺に流れる秀作で、ウィンスレットは本作でもGグローブ賞の助演女優賞を獲得、ダブル受賞の快挙を成し遂げた。

 タイタニックのローズ、エイプリールにハンナ。次々と悲しい女性像を見事に演じ分けるウィンスレット。今最高に輝いている女優だろう。(板垣眞理子)

ZAKZAK 2009/01/14

熟女ですね