Sunday, January 25, 2009

酒とジャズ

「ワイエスが亡くなりましたね」。思いだしたようにマスターが言う。

 そういえば、リブロポートから出ていた画集3冊を持っているのを自慢したことがあった。マスターはそれを覚えていたのだ。

 「ワイエスが描いたのはアメリカの原風景、それも精神の原風景という気がする。好きだったなあ」

 「なるほど。ならばアメリカの原風景を感じる音楽はなんでしょうね」

 マスターの問いに、隣でワイルドターキーを飲んでいた常連のA氏が「パット・メセニー」と即答した。

 「あるのはこれだけなんですよ」。マスターは『ミズーリの空高く』(1996年録音)をカウンターに置いた。ともにミズーリ州出身のチャーリー・ヘイデン(ベース)とパット・メセニー(アコースティックギター)のデュオアルバム。

 何と深い響き。ふたりの親密な会話のような演奏にスーッと引き込まれる。特に6曲目の《ザ・ムーン・イズ・ア・ハーシュ・ミストレス》。確かにワイエスの絵に通じる精神性と大草原を吹き抜ける冷たく乾いた風を感じる。

 「ところで、ミズーリはどこにあるんですか」。マスターの唐突な問いに、A氏は「オレも知らない」と言って勢いよくグラスを空けた。(桑原聡)

産経ニュース

どうして酒とジャズって合うんでしょうねぇー

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