Monday, September 25, 2006

吉田玉男さん

気迫の中に品よい色香 文楽の顔・吉田玉男さん逝く
2006年09月25日00時40分
 きりりと痩躯(そうく)、首をついと伸ばした独特の姿勢。24日亡くなった人形浄瑠璃文楽の最長老、吉田玉男さんの長く、細いが丈夫な腕が遣う人形は、人柄そのまま緻密(ちみつ)にして端正、気迫の中に品よき色香を漂わせ、見る者たちを魅了した。

「曽根崎心中」で1111回目の徳兵衛を遣う吉田玉男さん(左)=02年、大阪市の国立文楽劇場で
 入門は14歳。口べたで「人形相手なら話さんですむやろ」と思ったのが動機だった。修業が面白くなってきた矢先に兵隊にとられた。終戦で戻ると、人手が足りないため経験を超える大役も遣い、芸を伸ばした。
 55年の「曽根崎心中」復活上演で、徳兵衛に抜擢(ばってき)された時。手本はなく人形の所作を一から考えた。女の人形には通常、足がない。だが心中を誓う場面では、お初の足遣いにすそを割って足を出させ、その白い甲を徳兵衛が自分ののどに押し当て、抱きしめた。鮮烈なエロチシズムは伝説となり、徳兵衛は玉男さんの代名詞となった。
 理性的で穏やかな人柄への人望も厚く、左手や足を受け持つ人形遣いを決める「小割(こわり)」を長く務めた。弟子も数多い。海外公演にも熱心で、文楽の顔として国内外にファンを広げた。
 大名跡襲名を勧める周囲の声もあったが、「あいさつ回り、かなわんで」と一蹴(いっしゅう)。「僕は終生、玉男でええ」。巧まずおごらず名を求めず、生涯、一人形遣いを貫き通し、品よく静かに世を去った。

asahi.comより

 いい人生送っていったんだなぁ。

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